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14カ国 85名の世界の識者が語る 東京裁判史観批判に耳を傾けよ

●東京裁判は国際法上違法である
そもそも国際法上では、戦争は第二次世界大戦(日本では大東亜戦争)当時、合法的制度とされ、国家は「交戦権」を種々の態様において行使することができ、その軍隊は交戦法規の遵守を義務づけられてはいるが、敵国領域(植民地を含む)への進入やその占領も容認されて、不法な「侵略」とはされなかった。軍隊構成員や民間人が交戦法規に違反すれば、戦争犯罪人とされて、敵国側に捕えられれば処罰された。戦争犯罪人は個人として責任を問われ、帰属する国家は責任を問われないのが原則であった。各国軍隊は、軍律を制定して、違反者たる戦争犯罪人を審判機関(軍律法廷・軍事裁判所)を通じて処罰するのが慣例であり、その審判は本質的に軍事行動であり、目的とするところは、戦争犯罪人たる敵対者の処断を通ずる威嚇によって要は占領地・作戦地帯における自国軍隊の安全を確保することにあり、そのために審判の手続きは簡易であり、軍罰はたいてい死刑であってその執行は迅速にされた。
「極東国際軍事裁判所」を正式名称とする東京裁判の法廷は、日本を占領した連合国軍が構成するいわば「集団的な」軍律法廷であり、国際的に拡大された変則的な軍事裁判所であって、司法機関ではなかった。東京裁判は、連合軍の一過性の軍事行動であり、戦争行為(講和が成立するまでは、法的には戦争状態が続いていた)であり、連合国側の政治目的に奉仕するものであった。
以上述べたのは、東京裁判の検討にあたり必要な、基本的認識のための一助としてである。

世界がさばく東京裁判以下、『世界がさばく東京裁判』に集められた多数の識者による証言が、わが国に蔓延する東京裁判史観の迷妄を打ち破っている主要論点のうち、若干のものを掲げて、本稿を閉じたい。

●大東亜戦争の直接の原因は、欧州戦で苦境に立つ英国を救援するためドイツとの開戦をもくろんだルーズベルト米大統領一味の対日「挑発」行動に存する。いわゆる「裏口からの参戦」策謀である。

● 連合軍による交戦法規違反(戦争犯罪行為)は、日本諸都市への無差別爆撃、原子爆弾投下を初めとして、目的のために手段を選ばぬ悪質なものが多いが、戦勝国であるとしてそれらの責任は追及されていない。

● 日ソ中立条約を侵犯したソ連の対日参戦および暴虐行動は、米ソ共同謀議を発端とする。

● 大東亜戦争は、国際法理上、不法な「侵攻」(「侵略」はaggressionの誤訳)戦争ではなく、日本の自存「自衛」ならびにアジア解放のための正戦であった。

● ポツダム宣言は日本に「有条件終戦」を提案したものであり、「降伏文書」は正しくは「休戦協定」と称せられるべきものである。

● いわゆるA 級戦犯は「無実の罪」の犠牲者である。

● 全体的に見て、東京裁判は、国際法上違法であった。


佐藤和男
昭和2年東京生まれ。海軍兵学校(75期)卒。東京商科大学(現一橋大学)卒。国連本部研究員、青山学院大学教授を経て、同名誉教授。法学博士。平成14年より現職。憲法学会監事、世界法学会理事なども務める。著作に『国際法現代文献解説』『国際経済機構の研究』『憲法九条・侵略戦争・東京裁判』ほか多数の著訳書あり。
※「日本の息吹」平成17年9月号より許諾転載