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日本人の魂のふるさと=日本の神話

日本人の魂のふるさと=日本の神話

出雲井 晶 インタビュー


「日本の神話」の心への回帰

―先生は昨年、「文化関係者文部大臣表彰」を受賞されました。その賞状には、「特に日本神話を現代によみがえらせ多くの読者に感動を与えるなど文化の振興に多大の貢献をされました」と書かれています。神話の大切さが再評価されていることを実感します。

出雲井 受賞について文化庁の方から電話をいただいたのですが、そのときは何でいただけるのか分かりませんでした。賞状で、神話ということをはっきりと記されていました。やはり、神様が「日本の神話」の大切さを戦後の日本人に気付かせ、みんなが幸せに国家が明るく繁栄するようにということで、いただいたのだと思います。

「日本の神話」は日本人の信仰

―「日本の神話」が再評価されるのは、それが持つ重要性に気がついてきたからと思いますが、そもそも、日本の国民にとって、「日本の神話」はどういう意味を持っていたのでしょう。

出雲井 吉田松陰先生は、「日本の神話は日本人みんなの信仰の対象である」と言われています。つまり、目にみえない壮大な神様の世界の壮大な神様のお働きを知ることは、目にみえるこの現実世界の、あらゆる束縛から心がとき放たれて自由自在性を取り戻すということです。
キリスト教の家庭にはみんなバイブルが置いてありますが、それが日本人の場合は『古事記』であり「日本の神話」なのです。私達のご先祖は、「日本の神話」に描かれた目に見えない神様の世界を常に見つめ、神様のいのちをいただき神様のめぐみをいただいて、神様のふところの中で生かされている意識をつねにもっていました。
ところが、戦後、占領軍は神話教育を禁止しました。日本人はなぜあれほど勇敢に戦うことができたのか、その秘密を探っていけば、日本人の根っこ「日本の神話」に行き着きます。それを否定することが、日本人の精神的核を奪うことになると考えたわけです。
それで、戦後の人達は神話を失い、目に見える物の世界しか見えないようになり、個人の権利などばかり主張するようになりました。

―教育でも、神話ではなく人権教育が幅をきかせています。

出雲井 戦後の歴史教科書を見ると、まず考古学で、ダーウィンの進化論で魏志倭人伝でしょう。考古学は大事ですけれども、蝉の抜け殻を考えてもそこから生きたセミの命は出てきません。ダーウィンの進化論は人間をケモノ次元におとしています。

-「日本の神話」は天地を貫く理法 。物を分析しても、日本人が守り伝えてきた価値観は分からないということですね。では、神話で描かれていることはどういうことでしょうか。

出雲井 「日本の神話」は天地を貫く理法を教えてくれています。
日本の神話で最も大切なのは、永久不変の天地を貫く理法を示し教えてくれていることです。天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)とは、目にはみえないが一番たしかに存在する天地の理法・法則とも、正しい真理ともいいかえることが出来ます。世の中に表れているもの全ては、創り主=天之御中主様の御命の流れが表れている。だから全ては神様の恵みであり、生かされて生きる、これが「日本の神話」の精神です。 目に見えない天之御中主神の世界とは善いことばかりの世界であり、私達のご先祖は、神の世界からの贈り物に感謝して生きてきました。天照大神(あまてらすおおみかみ)は天之御中主様のもっとも尊い人格神としてあがめてきました。

日本人は本来、何ごとかあると「あっぱれ、あな面白(おもしろ)、あな手伸し(たのし)、あな清け(さやけ)、おけ」と、感謝して喜んだ底抜けに明るい民族なのです。この善いことばかりの目に見えないが一番確かに存在する神の世界を視て、神様の恵みに感謝し、自分の命は神様の御命の流れであることを自覚していました。つまり、自分とはいかなるものかという自己の確立が正しく出来ていたのです。
ですから、人々は行き交うと拝み合って感謝したというのは、相手の中にある天之御中主神を拝んでいたのです。 また、国うみ神話には、伊邪那岐(いざなぎ)様と伊邪那美(いざなみ)様が日本の国土を創られたことが記されています。陰陽の調和によって、天地の理に則って日本国は創られたことを知っていたのです。
このように、男女二神が国土も生まれ神の子も生まれる壮大な神話を持っているのは日本だけです。それはご先祖が、目に見えない神々の世界をじっと見つめ、神々の声を耳を澄ませて聞いていたから、天地の理法を神話として描くことができたのです。

「日本の神話」は日本の根っこ

出雲井 私が、「日本の神話」伝承館を開設し、「日本の神話」を守り伝えようとするのは、ご先祖が打ちたて伝承してくださった宝物を、ここで途絶えさせてしまったらご先祖様にも子孫の方々にも申し訳ないと思うからです。それともう一つは、「日本の神話」の精神が分かれば、靖國神社に祭られている方々がどれほどの思いで、この素晴らしい日本を守ろうとして命を捧げて下さったのか、そのお気持ちが本当にわかってくれると思うからです。

―今回出版される本が各家庭に置かれ、神話がさらに広く伝承されればと思います。

出雲井 「日本の神話」とは何かは、はじめはよく分からなくても良いと思います。ただ、家庭に「日本の神話の本」が置かれるようになれば、「日本の神話」に関心を持ち日本の本当の素晴らしさに気付く大切なきっかけになると思います。日本の根っこは「日本の神話」にあるのですから。

(「日本の息吹」平成11年2月号より)

『絵で読む日本の神話―神話伝承館への招待』