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エルトゥールル号殉難将兵が結ぶ真心の絆

国際親善における皇族の役割

平成2年、このメルシンでの慰霊祭と記念式典に、三笠宮崇仁殿下の代理として、寬仁親王殿下が出席された。

寬仁殿下がゲストブックに署名をすませ、ふと壁を見られると、そこには水と土の入ったフラスコが1つずつ置かれていた。早速質問したところ、「百年前の樫野崎の漁民の人々の心温まる救出活動を永遠に忘れない為に、樫野崎の水と土を安置しているのです!」という返事であった。寬仁殿下は、「高校球児が甲子園球場の土を記念に持ち帰ろうとする」事を連想され、「民間外交の究極の成功例がこのフラスコ瓶の中にある!」と感激したことを回想されている。

日本とトルコの友好親善において、三笠宮殿下、寛仁親王殿下の果たされている役割は非常に大きい。

日本・トルコ協会は、昭和4年、高松宮殿下が総裁に就任されている。現在、総会や記念行事には、三笠宮殿下(現名誉総裁)、同妃殿下、寬仁親王殿下(総裁)がご臨席になり、親しくお言葉をお述べになる。参加者と共に時間を過ごされ、大使はじめ関係者となごやかに歓談される。トルコの人々に日本国としての最上の敬意を体現されている。皇族方のご存在そのものが至上のものであり、国と国の友好関係を、いかに揺るぎないものにされているかを間近に拝し、実感することができた。

両陛下と比べるのは畏れ多いことであるけれども、皇族方が果たされている具体性なご活動や重要性を、国民はあまりにも知らないのではないか。

平成19年、日本で開催された「トプカプ宮殿の至宝展」に、悠仁親王殿下のご誕生に祝意を示そうと、門外不出の「金のゆりかご」が特別出品された。トプカプ宮殿美術館のオルタイル館長は、「プリンスが生まれ、日本の国民が喜んでいる。トルコの日本に対する友好の気持ちの大きさを示したい」と出品を決断した。こうしたトルコからの特別な祝意を、国民は十分受けとめているだろうか。

素より薬価、施術料を請求するの念なく

串本町の田嶋町長は、最近見つかった新たな資料を紹介している。遭難者の治療にあたった医師3名が認めたもので、当時のカルテと一緒にあったものだという。

「明治二十三年九月二二日

本日、閣下より薬価 施術料の清算書を調成して進達すべき旨の通牒を本村役場より得たり。
然れども 不肖 素より薬価 施術料を請求するの念なく、
唯唯 負傷者の惨憺を憫察し、ひたすら救助一途の惻隠心より拮椐 従事せし事 故 其の薬価 治術料は該遭難者へ義捐致し度 候間 此の段 宜しく御取り計らい下さりたく候也。」

文面にみられる惻隠の情は、日本人の精神そのものであり、世界の国々のリーダーの中には、今なお、このような日本人の高い倫理観と武士道精神を自分達が希求する精神と位置づけているのだという。